スタジオセッション-952
けっこう前に撮ったあの花めんまのフィギュアの写真。前のとちょっと補正をかえて再現像したもの。
気づく人は気づくと思いますがフィギュアの背景はPCモニタ。正確にはiPad3です。ものすごい多いわけでもないがたまにモニタを背景にしたフィギュア写真ってのを見ますよね。モニタを背景にするメリットは簡単にいろいろな背景を選べるってこと。自分で撮影や制作したものでもいいし、どっかから持ってくることもできる。どっかから持ってくるときは商業利用はしちゃだめよってプロならそういうことはしないと思いますが。
そこらへんの話はいいとして、おーいいじゃんって思う人もいるかもだがそんなにいいことばかりでもないのがモニタ背景のデメリット。
大まかにデメリットを言えば、めんどくさいし技術や機材がないと思い通りに撮影するのは難しい。うちの物撮りにモニタ背景なんてほぼ無いのでめんどくさそうってのはわかるかと。簡単だったらずっと使ってます。
そんなことでそういう撮影方法を一応書きましょうと。細かく書いてるつもりですがかなりざっくりと書いてますので、いろいろと違うだろ〜ってこともあるかもだがそこらへんはご了承ください。

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今回使った機材はiPad3に、iPad用デスクスタンド、あとはいつものブツ撮りセットともいえる、スピードライト2個にアンブレラ2個でというライティングセット。PCモニタちゃうやんってことですがモニタは動かすのが大変なんで実験という意味でiPadを使いました。ちょうどよく垂直に立てられるスタンドもあったし。

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iPadを使った理由のもう一つは画素ピッチ。うちのPCのモニタは24インチの1920x1200ってやつですが背景に使うにはどうしてもドットが見えてなんか荒くなるのよなぁ。てことで9.7インチ、2048x1536のいわゆるRetinaディスプレイのiPad3を使ったと。ディスプレイを取ると問題になるモアレもRetinaだとほぼでない。PCモニタでできなくはないがRetinaディスプレイのほうがキレイには撮れます。
と書いたあとにPCモニタ背景で撮ってみたらそんなに気にならなかったしそんなにかわらなかったw まぁライティングのセッティングがやっぱりめんどくさいってだけですな。
つーかマウスポインタが・・・iPadってポインタないので存在忘れてました。

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じゃー撮りましょうか。モニタ背景で問題になるのが背景と被写体との露出差。測光の方法やカメラによって変わるが基本的にはモニタは発光してますのでいわゆるの逆光撮影になる。ということで適当に撮るとこんな風に被写体が真っ黒な状態に撮れてしまうことが。 逆に言えば、こんな感じのシルエット撮影したいっていうならモニタ背景はいい背景だったりします。

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被写体が暗くなるなら被写体を明るく撮ればいいだろってね。測光変えて被写体に合わせてもいいですしさっきの暗い状態よりシャッタースピードを遅くしたり露出補正をしたりといろいろ方法はありますが、被写体を明るく撮ってみました。あったりまえのことですが今度は背景の露出がオーバーで白飛びしてしまいました。

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じゃーどうするのかと。さきほど書きましたがこの状態は逆光での撮影状態と似ている。でフィギュアですがポートレート写真と同じわけで。逆光でのポートレートでの定番はストロボでの日中シンクロ。よくわからない単語いっぱいって人もいるかもですが簡単に言えば暗いところがあるならそこだけ照らしてやればいいってことです。
つーことでうちの物撮りアイテムのスロトボセットでフィギュアを照らして撮ろうってことに。上の写真はわかりやすくしただけでこんなにストロボ近くないよ。
けどスロトボ二つはだいたい真横からアンブレラに当ててフィギュアに照射。真正面から照らせばいいんじゃね?ってことになるが、真正面からだとのっぺりとしてしまうのもありますが、それよりもストロボの光がモニタに映り込んでしまうので横から。
いつものニコンのアドバンスドワイヤレスで撮ってますが、SG-3IRをつけてマスターの発光も写らないようにしてます。
そんな大げさな機材持ってないがなって言われそうね。そういうときはレフ版使ってみたり、デスクスタンドで照らしたりと被写体を明るくどうにか照らしてみてください。
個人的にはこれが一番簡単でありこれ以外で俺はやる気はなし。

モニタの明るさを暗くして被写体との露出差をなくすって方法もあるんですが、それだとモニタの背景がキレイに撮れないのよな。それとiPadが光沢のある液晶だからってのもあるがカメラやなんやらが映り込みやすくなってしまう。環境によってですがモニタ暗くするのはそんなにうまくはいかない場合があるよと。

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とフラッシュさえたけばいいってわけでもないのがめんどくさいところ。まぁただ照らしてもうまくいく場合もあるが思い通りに確実に撮るには、まずマニュアル露出でモニタにちょうどいい露出に合わせる。そしてその露出のままフラッシュで照らす。でフラッシュの光量調整。でモニタと被写体の露出が同じくらいなら終了。
マニュアルで撮るのは露出の固定のため。で三脚使いたくないならそれなりのシャッタースピードの速さになるようにISOを上げる。あとはうまいことストロボ調整してみてください。だいぶやったので慣れたが最初はけっこう大変かも。
こういう露出差のあるものを撮ると今だと露出の違う二つの写真を合成したほうがいいなんていう人もいますが、自分ルールでそれはやらない決まりにしてるのでね。なんとかできるものはなんとかしたいので。
あと合成しちゃうなら普通に被写体切り抜いて壁紙にはめちまったほうがいいがなってことで合成はしないです。

スタジオセッション-742
こっちのほうが先に書かないといけなかった気がするが、被写体とモニタのセッティングについて。撮りやすくというなら被写体とモニタの距離はできるかぎり近づける。背景が遠くなるとボケやすくなりますので。あえてボカしたいというなら離すのはありですが、APS-C以上の一眼ならボカすのは簡単ですが背景をはっきり見せるのは限界があるのでできるかぎり近づけたほうがあとあとやりやすいです。
そしてモニタは被写体と平行、カメラと平行といったほうがいいかしらね。モニタがナナメだと中の画像もナナメになってしまうのでできるかぎりカメラと平行になるようにしましょう。

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あと細かいところをちょこちょこと。絞り(F値)と背景の関係。絞りは前に説明しましたが、F値をあげれば背景はしっかりと、F値を小さくすればボケる。APS-Cの一眼だとこのくらいの背景のボケの違いは絞りだけで簡単にだせると。

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そしてレンズの焦点距離も大事なポイント。左が55-200というレンズで200mmで撮ったもの。右がトキナーM35で35mmで同じ設定で撮ったもの。
焦点距離の違いで背景の映る範囲とボケかたが変わると。焦点距離が長ければ範囲は狭く、ボケ安い。
どういうものを撮りたいかによって変わりますが、モニタ背景でそれなりに凝ったガラのものを背景にして背景をしっかりと見せたいのなら焦点距離は短いほうがよく、被写体に寄るなら広角マクロといわれる撮り方ができるレンズのほうがやりやすい。

とまぁいろいろ書きましたが、だいたいでいいなら背景と被写体の露出差をなんとかすれば背景としては一応使える。
しかしすべてを思い通りに撮るとなるとカメラの知識をフルに使い、それなりに機材を揃え、それなりの技術と経験がなければ簡単とは言えない。そして最後の最後にソフトで補正。そういう技術もあると楽。
まぁ結論は、簡単そうだけど簡単じゃないのよ〜っていうことです。けど使いこなしさえすればこんなにいい背景は無いですし、すべて思い通りに撮れるようになれば写真の技術や知識はそれなりとも言えます。興味を持ったのならば挑戦してみるのは腕を上げるって意味ではいいと思います。
おれは今後使うのかってことですが、フィギュアあたりよく撮ってるんだと使い道もあるんだろうが、俺がよく撮ってるようなものだといまいち使えないのよな。ただでさえブヅ撮りはめんどくせってのがあるんで、これやると倍疲れますしね。まぁ使い道を考えたら使うでしょうってくらいです。
2013/12